前庭障害|浅草橋の動物病院は「あさくさばし動物病院」へ 年中無休

診療科目別症例紹介

脳・神経の病気

前庭障害

【概要】

前庭障害とは目や頭の位置を正常に保持するための「前庭系」に異常が生じ、首が傾いた状態のまま戻らない(斜頸)、旋回や眼振(目が揺れる)などの症状を示す疾患です。

平衡感覚がうまく保てず船酔いのような状態になるため、嘔吐、ヨダレ、食欲不振、運動失調などの症状を伴うことも多々あります。

原因は、脳に問題がある「中枢性」、中・内耳(耳の奥)や前庭神経の問題である「末梢性」に分けられます。犬や猫では末梢性前庭障害が多く認められます。

末梢性は、中・内耳炎、感染、耳の中の腫瘍やポリープ、外傷、甲状腺機能低下症、アミノグリコシド中毒などにより起こります。最も一般的な原因は中・内耳炎ですが、原因がはっきり分からない「特発性」も多くみられます。

中枢性は頭部外傷、脳炎、脳腫瘍、脳血管障害、感染などにより起こりますが、炎症性疾患が最も多い原因疾患です。

​【治療】

原因に応じて選択します。

中内耳炎が原因の場合には、抗生物質や抗炎症薬を使って治療を行います。感染や炎症が落ち着けば予後も良好ですが、慢性化している場合には外科的な処置が必要な場合もあるでしょう。

特発性の場合には、無治療でも数日以内に症状の改善が認められ、多くの場合は数週間で自然に回復します。

中枢性では、脳の炎症に伴って起こるケースが多くみられ、診断にはMRI検査や脳脊髄液検査が必要です。治療や予後は原因によって異なり抗生物質、消炎剤などを用います。発作を伴うなど状況によっては、脳圧降下剤や抗てんかん薬が必要な場合もあります。

また、併発する嘔吐、食欲不振、ふらつきに対して吐き気止めや点滴、怪我をしないようサポートを行うことも必要です。