椎間板脊椎炎
◉はじめに
椎間板脊椎炎とは、背骨を構成する椎間板や椎体の感染(細菌・真菌)により炎症を起こす病気です。泌尿器(膀胱炎・腎盂腎炎など)や心臓(心内膜炎)、口腔(歯周病)など他部位に感染巣があり、その病原体が血液を介して椎間板に到達し、感染を起こすことが一般的です。若齢から中齢での発生が多く、雌に比べて雄での発生率が高い傾向にあります。
◉症状
背部の痛みが80%以上で認められます。明らかな痛みではなく、あまり動かなくなった・段差をのぼらなくなったなど漠然とした症状のみの場合もあります。また、他部位での感染により生じることが多いため、発熱・食欲不振・体重減少などの症状も認められる場合があります。病状が進行すると、麻痺や脊椎の病的骨折、脱臼に至るケースもあります。
◉診断
診断には全身の身体検査と神経検査、レントゲン検査が必須となり、CT検査やMRI検査なども必要に応じて実施します。
レントゲン検査では、椎間腔の狭小化(隣接する椎骨の隙間が狭くなること)・椎体の骨融解像(骨が溶けた状態)・椎体の硬化・骨棘形成などが認められます。【以下の画像参照】
◉治療
感染した細菌や真菌に対して、最適な抗生剤または抗真菌剤で治療を行います。痛みを伴う場合は、非ステロイドの痛み止めも併用します。
ステロイドは感染を悪化させる可能性があります。そのため椎間板脊椎炎が除外できていない段階で他の疾患と判断しステロイドを使用すると症状が悪化する可能性もあるため、使用には注意が必要です。また、椎体の骨折や脱臼が併発している場合は、外科手術が必要な場合もあります。多発した病変や骨折、脱臼などが見られない場合は、通常予後は良好です。