猫の尿石症|浅草橋の動物病院は「あさくさばし動物病院」へ 年中無休

診療科目別症例紹介

泌尿器の病気

猫の尿石症

◉概要

尿石とは、尿路系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に形成された結石を指します。尿石症とは、尿石が尿路系にできることによって生じる病的な状態です。猫ちゃんの下部尿路疾患のうち、約3割は尿石症によるものと診断される程よくみられる疾患です。尿結石には様々な種類がありますが、以下の2種類が発生頻度が高く一般的です。

ストルバイト :最もよくみられる結石です。尿がアルカリ性になると形成されやすいですが、食事療法で溶ける可能性があります。

シュウ酸カルシウム :酸性尿で形成されるタイプの尿結石です。こちらは食事療法で溶けないため、手術での摘出が必要です。

 

◉症状

結石ができる場所にもよりますが、頻尿、排尿時の痛み、血尿などが認められることもあります。また結石が尿路で閉塞して排尿ができず、急性腎不全を起こしてしまうこともあります。この場合は非常に緊急性が高く、命の危険も伴います。尿管結石は症状を伴わない場合もあり、気づいた時には片側の腎臓が機能しなくなっていることも少なくありません。

 

◉検査

①尿検査

尿のpH、比重をはじめとする性状や顕微鏡下にて感染や細胞の有無、結石の種類を確認するための検査です。結石症の治療方針を決める上で非常に重要です。

 

②画像検査(レントゲン、超音波)

腎臓、尿管、膀胱などに形成された結石の大きさや形を調べることができます。結石が形成される場所によっては腎臓や尿管の腫大・拡張を起こすこともあるため、そうした異常の検出にも役立ちます。

 

③血液検査

状態によっては腎障害の程度を調べるために血液検査を行います。尿石症から尿道閉塞を起こすと、尿の排泄ができずに腎臓に負荷がかかります。生じた腎臓障害が一時的なものか慢性的な状態にまで陥っているかどうかは、その後の予後や治療にも大きく影響します。そのため、尿道閉塞の初期治療では血液検査でどのような兆候にあるのか確認することもあります。

 

◉治療

尿路結石の治療は、結石の場所や症状によって変化します。

①膀胱結石

食事療法や抗生剤治療(細菌性膀胱炎を伴う場合)が適応になります。膀胱炎を繰り返す場合には、外科手術を行うこともあります。

 

②尿道結石

尿道閉塞を起こしている場合、迅速な閉塞の解除が必要になります。尿道の先端からカテーテルを挿入し、詰まっている結石を膀胱まで押し戻します。不可能な場合には、外科手術が適応となります。

 

③尿管結石

尿管は腎臓で生成された尿を膀胱に送る細い管です。尿管に結石が詰まることで上流の腎臓に負担がかかってしまします。状況によりますが、急性腎不全を起こしている場合には外科手術が必要です。尿管結石の原因の多くは、シュウ酸カルシウムと呼ばれるもので、これは食事療法では溶かすことができません。

 

◉再発予防

食事療法や飲水量を増やすことなどが挙げられます。しかし、こうした予防的な対応を行なったとしても、シュウ酸カルシウム結石は2年以内の再発が非常に多いと言われているなど、再発を完全には防ぐことは困難です。そのため、尿石症の罹患歴がある場合には、定期的な検査が推奨されます。

 

◉まとめ

尿石症は、猫ちゃんの病気でも非常によくみられる疾患です。緊急性の高い状況となることもあるため、早期発見・早期治療をすることが大切です。当院では排尿について気になる点がある場合はもちろん、無症状の場合でも健康診断として定期的な尿検査をおすすめしておりますので、お気軽にご相談ください。