骨の病気
膝蓋骨脱臼
【概要】
膝蓋骨(膝の皿)が正常な位置から外れてしまう進行性疾患です。
大きく分けて原因は2つに分けられます。1つは出生時からの膝関節周囲の筋肉、また骨の形成異常や靭帯の付着部の異常などが存在し、加齢とともにこれらが悪化することで、膝蓋骨の脱臼を招くもの。
もう1つは打撲や落下などによる外傷性が原因で膝蓋骨周囲の組織に損傷が生じることで発症するものがあります。
症状として、時々後ろ足を上げる、後ろ足を後ろに伸ばす動作を繰り返すなどが見られます。
日常生活において膝蓋骨の脱臼と整復を繰り返し、関節軟骨が磨耗すると症状は悪化し、歩行異常がよりはっきりしてきます。
更に四頭筋機構が関節を安定化させられなくなることも手伝い、前十字靭帯断裂症が併発することもあります。
【治療】
外科治療が必要になります。
手術方法はグレードや症例にあわせて以下の4種類の手術法を組み合わせて行います。
1.縫工筋、内側広筋の解放、重度の場合は内側関節包解放(medial release)
2.外側余剰関節包の切除と縫縮術(lateral tightening)
3.滑車溝深化術(deepening groove)
4.脛骨粗面移植術(tibial tuberosity transposition)もしくは脛骨内旋制動術 (Tibial antirotational suture)
しかし、膝蓋骨脱臼が進行し、膝関節の伸展が難しくなったり、骨格の変形が重度になると予後は不良です。状況により、治療のご説明をさせていただきます。