猫の皮膚肥満細胞腫|浅草橋の動物病院は「あさくさばし動物病院」へ 年中無休

診療科目別症例紹介

皮膚・耳の病気

猫の皮膚肥満細胞腫

◉肥満細胞腫とは

 皮膚肥満細胞腫は猫の皮膚に見られる悪性腫瘍の中で最も発生頻度が多いと言われています。肥満細胞というアレルギー反応に関与する細胞が悪性腫瘍化したものが肥満細胞腫です。肥満細胞は全身に分布して体のどこにもできる可能性がありますが、皮膚や内臓(脾臓や消化管)などに発生するタイプが多くみられます。

 猫の皮膚肥満細胞腫は見た目としては白っぽく平らなできもの【写真1参照】であることが多いように(個人的には)感じますが、見た目や大きさはバリエーションが多様で、見た目だけで肥満細胞腫を否定できません。頭部や頸部に好発しますが、皮膚のどの部位にも発生する可能性があります。何年も前からできものがあり大きさも変わらないため様子見ていたが、検査したら肥満細胞腫だったなんてこともあります。また、猫の皮膚肥満細胞腫は多発することがあり毛刈りをしてみると体のあちこちに見つかることもあります。日頃から猫ちゃんの皮膚を良く観察し、できものを見つけたらすぐに受診することをお勧めします。

 肥満細胞腫は冒頭で述べたようにアレルギー反応に関わる細胞です。細胞の中の顆粒にはヒスタミンやヘパリンなど身体に有害な物質が含まれています。これらの物質はできものを刺激すると放出されることがあり、場合によっては重篤なショックで急に倒れたり、できものと周囲が真っ赤に腫れる(ダリエ徴候という)、消化管潰瘍ができることなどがあります。できものを見つけた場合はあまり強く触らず刺激しないように注意してください。

【写真1】

 

◉診断・検査

①細胞診

 注射針でできものの細胞を採取して顕微鏡で観察します【写真2】。肥満細胞腫であれば、細胞診で診断できることも多々あります。細胞診の実施は猫ちゃんの性格やできものの場所によりますが、基本的に鎮静や麻酔は必要ありません。検査により肥満細胞腫だった場合には、抗アレルギー剤の注射を打ちダリエ徴候を起きづらくします。

【写真2】

②ステージング

 病状の進行度合いを評価する事をステージングと言い、治療方針や予後の評価にも重要な所見です。具体的には、肥満細胞腫の転移(リンパ節や内臓臓器など)の可能性を血液検査・X線検査・超音波検査、場合によってはCT検査などで調べます。

③病理組織学的検査

 できものの一部もしくは全てを切除して病理組織検査に提出します。実際には細胞診で診断できることが多いので、治療も兼ねて手術で全て切除して、悪性度やマージン(全て取り切れているかどうか)評価を実施することが一般的です。実施にあたっては基本的に鎮静や麻酔が必要です。

④遺伝子検査

 切除した組織を用いて腫瘍細胞の遺伝子変異を調べます。遺伝子変異が陽性の場合には分子標的薬の使用を検討します。

 

◉治療

①外科手術

 手術で肥満細胞腫を切除します。多発している場合は全て切除します。猫の皮膚肥満細胞腫は転移がなければ、外科手術によって完治が期待できます。

②抗がん剤

 すでに転移している場合・なんらかの理由で手術ができない場合に検討します。抗がん剤には従来の抗がん剤と分子標的薬という比較的新しいタイプの抗がん剤があり、遺伝子検査結果などを考慮して必要であれば使用を検討します。

 猫ちゃんの年齢・既往歴・状態・転移の有無などを総合的に判断し上記の手術や抗がん剤を組み合わせて治療します。

◉まとめ

 猫の皮膚肥満細胞腫はできものを発見してからあまり大きくならず、数ヶ月~数年様子を見ていることがあります。調べてみたら肥満細胞腫だったということは珍しくありません。できものを見つけた時は、見た目であまり悪く見えなかったり大きくなってなくても「大丈夫だろう」とは思わず、早めに病院で検査することをお勧めします。皮膚にできる悪性腫瘍は肥満細胞腫だけではありません。どの腫瘍も早期発見・早期治療が非常に重要です。なるべく小さく、転移がない方が完治の可能性が増し、手術の負担も少なくてすみます。気になる症状がある場合は当院へご相談ください。