IBD(炎症性腸疾患)|浅草橋の動物病院は「あさくさばし動物病院」へ 年中無休

診療科目別症例紹介

消化器の病気

IBD(炎症性腸疾患)

【概要】

胃腸に慢性の炎症を起こす原因不明の病気で、一般に長期にわたる内科治療が必要となります。適切な治療によって多くの犬や猫で症状を改善することができますが、重度の消化器症状や低蛋白血症を有する症例では時に死に至ることもあります。

はっきりとした原因はわかっておりませんが、何らかの遺伝的な異常によって、食事や腸内細菌などに関連した胃腸粘膜の免疫異常が生じ、慢性の胃腸炎が起こるものと考えられています。

3週間以上にわたる慢性の消化器症状(下痢、血便、嘔吐、食欲不振など)が見られるのが一般的です。しかし、下痢や嘔吐がなく、体重減少や腹水貯留だけが見られることもあります。

慢性の消化器症状を起こす病気は非常にたくさんありますので、消化器症状を起こしている原因が他の病気ではなく炎症性腸疾患であると判断するためには、一般に多くの検査を行うこと、及び幾つかの治療を行い反応性を見ることが必要となります。炎症性腸疾患では糞便検査、血液検査、画像検査(レントゲン検査、超音波検査など)を行っても消化器症状を起こす異常が一般に見られず、内視鏡検査や開腹手術で採取した胃腸の組織を顕微鏡で見ると原因不明の慢性的な炎症が認められます。また、炎症性腸疾患は食事療法や抗菌薬などの治療薬で症状が完全に良くならず、副腎皮質ステロイド薬を中心とした治療によって症状が良くなります。

​【治療】

下痢や嘔吐などの症状を軽減するために抗炎症薬、免疫抑制薬、食事療法、抗菌薬などを組み合わせた内科的治療を行います。特に副腎皮質ステロイド薬は有効性が高いのですが、長期的な内服が必要となることが多いので、薬の副作用にも注意しながら治療を続けます。治療の初期には薬を比較的多めに使い、症状が改善すれば薬の量を減らしていくのが一般的です。ただし、薬を完全に中止できることは少なく、必要最小限の薬を長期的に飲んでいくこととなります。

予後は様々ですが、適切な治療によって症状が改善し、長期的に生存できることが一般的です。しかし一部の症例では治療がきかずになくなってしまうこともあり、症状が重篤である場合や低蛋白血症が見られる場合は特に注意が必要です。